
【はじめに】
フリーランスで活動している方や業務委託契約書に不安を抱えている方に向けた、最新の法改正や契約書作成のポイントを解説した必読の記事です。
【本文】
フリーランス新法の概要
フリーランス新法はいわゆる俗称で、正式には、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。この特定受託事業者とは誰のことかという点から、話しを始める必要があります。
特定受託事業者とは、契約の相手方であって、①個人事業主の者で、なおかつ従業員を雇用(週に20時間以内、計30日以下の勤務者は除く)していない者。②法人の代表者で、他に役員がいない者、なおかつ従業員を雇用していない者。上記①または②に当てはまる人のことをいいます。例えば、一人親方や代表一人のみの会社の社長などが特定受託事業者として、フリーランス新法での保護対象になります。
他方、この新法で規制される者は、業務委託事業者と特定業務委託事業者です。特定業務委託事業者とは、端的に言えば、業務委託事業者の枠の中で、一定の者が特定業務委託事業者となると思っていただければ分かりやすいです。
業務委託事業者とは、自らの事業のために他の事業者に物品の製造や加工、情報成果物の作成を依頼し、役務(サービス)の提供を委託する者と定義されています。そのうちの特定業務委託事業者とは、①人を雇用している個人事業主、②会社の社長でほかに役員がいる、または従業員を雇用している者のことをいいます。
1.フリーランス新法には、7つの義務項目があります。
①書面などの提示∶書面の交付または電磁的記録での送付(メール等)で以下の項目の取引条件を明らかにしなくてはなりません。「業務、役務の内容」「報酬の額」「⽀払期⽇」「発注事業者・フリーランスの名称」「業務委託をした⽇」「給付を受領/役務提供を受ける⽇」「給付を受領/役務提供を受ける場所」「(検査を⾏う場合)検査完了⽇」「(現⾦以外の⽅法で⽀払う場合)報酬の⽀払⽅法に関する必要事項」
②報酬⽀払期⽇の設定と期⽇内の⽀払:発注した物品等を受け取った⽇から数えて60⽇以内のできる限り早い⽇に報酬⽀払期⽇を設定し、期⽇内に報酬を⽀払うこと。
③7つの禁止行為∶1受領拒否 、2報酬の減額、 3返品 、4買いたたき 、5購⼊・利⽤強制、6不当な経済上の利益の提供要請 、7不当な給付内容の変更・やり直し。
④募集情報の的確表⽰∶広告などにフリーランスの募集に関する情報を掲載する際に、内容を正確かつ最新のものに保たなければならないこと。加えて、虚偽の表⽰や誤解を与える表⽰をしてはならないこと。
⑤育児介護等との両立に対する配慮∶6か⽉以上の業務委託について、フリーランスが育児や介護などと業務を両⽴できるよう、フリーランスの申出に応じて必要な配慮をしなければならないこと
⑥ハラスメント対策に係る体制整備∶ハラスメントを⾏ってはならない旨の⽅針の明確化、⽅針の周知・啓発する。さらに相談や苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備の構築。加えて、ハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応 など。
⑦中途解除等の事前予告や理由開⽰∶6か⽉以上の業務委託を中途解除したり、更新しないこととしたりする場合は、原則として30⽇前までに予告しなければならないこと。さらに、予告の⽇から解除⽇までにフリーランスから理由の開⽰の請求があった場合には理由の開⽰を⾏わなければならないこと。
業務委託事業者に関しては、①の取引条件の明示が、特定業務委託事業者に関しては、①〜⑦全て当てはまりますので、ご注意ください。
2.上記のフリーランス新法の義務を踏まえて、業務委託契約書を作成するポイント
①は、従来の業務委託契約書を締結されている事業者間であれば、これらの文言は欠いた契約書を相手方へ提示することはないかと思われるので、特に問題はなくそのままでも大丈夫でしょう。一方、これらの項目が記載されていない契約書であれば、至急手直しをしなくてはなりません。
②に関しては、「甲は、乙に対し、当月分の業務の報酬を翌月末日までに請求書を発行し、請求書を受領した月の10日までに対価を支払うものとする。」という場合は、60日の期間を超過してしまうので、修正が必要です。
③では、報酬とは独立して行われる協賛金などの要請が該当します。例えば、社員旅行に同行するための積立金などが当てはまりますので、合理的な正当理由がない場合は、この項目も見直しが必要になります。
④は契約書ではなく、業務を委託する際の注意事項になります。
⑤は、現在の業務委託契約書に記載されていなければ、新たに設けてフリーランスに配慮しなくてはなりません。
⑥も同様です。例えば、「乙は、妊娠、出産若しくは育児又は介護によって、本件業務を遂行することが困難な場合には、次に定める者に申し出ることができる(省略)。」など。
⑦に関しては、やむを得ない事由がある場合を除いて、6ヶ月以上ある契約の中途解約は、この契約期間の満了前の期日に注意してください。「〜期間満了の3週間前までに」となっている場合は、「30日前までに」と修正しなくてはなりません。更新拒絶の場合も同様です。また、求めがあった場合には、理由を開示しなくてはなりません。これも、契約書に盛り込む必要があります。
【まとめ】
フリーランスと業務委託契約書に関する最新情報をまとめ、読者が自身の契約書を見直すきっかけとなるようにしました。フリーランス業界で活動している方や業務委託契約書に対する不安を持っている方は、この記事を参考にしてみてください。新法の変更点や契約書作成のポイントを押さえることで、より安心・安全なフリーランス活動を送ることができるでしょう。