【はじめに】
不動産を所有しているけど活用方法に悩んでいる方へ、レンタル収納業の魅力と始め方について解説します。

【本文】
不動産オーナーの皆様、大切な資産である不動産をもっと活かす方法があります。それは、レンタル収納業です。空いたスペースを活用することで、収益を得ることができます。レンタル収納といっても、いくつかの形態に分類することができます。
レンタル収納の分類
1.部屋型・ボックス型
部屋型は、屋内型のトランクルームによく見受けられるタイプです。既存のビルの1フロアをパテーション等で区切ったり、長屋のような建造物を建てたりして、部屋のような空間を収納スペースとして貸し出します。また、ボックス型は、部屋型よりもさらに小さな空間として分割したタイプになります。貴重品など、より重要な物を収納したいという希望にマッチした形態です。既存の建物を使用してトランクルームとして貸し出す部屋型やボックス型は、その建物の賃料やその土地の坪単価の相場が価格を決定する基準となります。この形態では、小口化が可能になり、大小さまざまな収納スペースを設置して無駄なく運営でき、収益率が高い経営をすることができます。
2.倉庫・コンテナ型
この倉庫・コンテナ型は、屋根付きの場所に車を複数台を停められる駐車場の中を細かく分類するタイプや、街中でよく見かける物置や鉄製のコンテナなど一つ丸ごと収納スペースとして使用するタイプです。これらは、オートバイや仕事で使う工具類、家の物置に入らなくなった大きな家具などを収容します。このタイプは、広い土地を確保できる郊外に設置されていることが多いようです。部屋型とおなじような基準となりますが、大規模な倉庫形態は、管理者が必要になるのでその分の人件費がかかります。保守管理面がしっかりしているのを強調し、ほかの形態との差別化を図ることで、より有利な料金設定が可能となります。また、コンテナ形態の場合は、その土地を駐車場として貸し出した場合の坪単価がいくらかなど、その駐車場の賃料と比較して料金を設定します。加えて、サブリース契約で土地の所有者から転貸して貸し出す方法は、駐車場の相場に上乗せして土地所有者へ条件を提示すると、理解が得られやすくなります。
用途地域の建築制限
1.部屋型・ボックス型
既存の建物を利用したレンタル収納であれば、すでに建築確認は得られているので問題はありませんが、レンタル収納として貸し出す際に、大幅な改装や増築が行われる場合は、新たに建築確認が必要になることもある点に注意が必要です。
2.倉庫型
倉庫型の場合は、中は分割したスペースですが、外枠となる倉庫が「倉庫業法」の規制を受けることになります。そのため設置場所は、用途地域の準住居地域・近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域・工業専用地域に限定されます。また防火地域だと、建築基準法によって防火規定も適用されることに注意が必要です。
3.コンテナ型
コンテナ型は、常時移動を前提としたものと違う固定した建築物とみなされると、建築基準法に基づく建築確認申請が必要になります。そうなると、第1種、第2種住宅専用地域では設置することができません。加えて、設置できる地域でも基礎工事が要求される可能性があります。
契約形態の差異
1.賃貸借契約によるレンタル収納
一般的にレンタル収納スペースとも呼ばれている形態で、賃貸アパートやマンションなどと同じように、賃貸借契約によって居住ではなく物品の保管として利用者に貸し出します。基本的にはスペースを貸す契約ですので、原則として保管されている荷物の管理は利用者が自分で行います。24時間出入りの可能な施設が多く、基本的にいつでも荷物の出し入れが可能です。貸し出す側に落ち度があった場合や、契約に補償する旨の記載があれば別ですが、荷物の保証をする必要がありません。
2.寄託契約によるレンタル収納(トランクルーム)
上記の不動産の賃貸借契約とは異なり、倉庫業法に基づく契約によって、物品の保管を行います。保管するスペースを借りるのではなく、荷物を預かり保管する形態です。
この形態では基本的に業者が荷物の出し入れを行い、利用者の倉庫内への立ち入りは原則としてできません。場合によっては荷物の出し入れに料金が発生しますし、出し入れができるのも営業時間内のみに限られます。ただし、これは単なる場所の賃貸ではなく、運営者側にも荷物に対する一定の責任が生じますので、荷物に瑕疵が発生した際などは、運営者が補償の義務を負うことになります。
トランクルームとその認定制度とは?
トランクルームとは、単に収納スペースを貸すサービスではなく、倉庫業法の登録を受けた事業者(倉庫事業者)が、預け入れの依頼を受けて、次の様な個人(消費者)の物品を保管する倉庫です。a.海外赴任や家の増改築などにおける家財b.美術工芸品などの貴重な財産c.毛皮製品などの保管・管理の難しい衣類d.文書・書籍・磁気テープ
認定トランクルームとは、トランクルームのうち、一定の性能(定温、定湿、防塵、防虫、防磁、常温、常湿)を有する等、基準に適合するものとして国土交通大臣の認定を受けたトランクルームのことをいいます。また後述する倉庫業法に則って国土交通大臣の登録をしていなくはなりません。
開業のための規制や手続きについて
寄託契約としてトランクルームを開業するには、倉庫業法に従って、国土交通大臣の登録を受けなければなりません。その際には資格や様々な書類が必要になります。
必要な資格
倉庫管理主任者を選任する必要があります。
必要書類の名称と記載する内容や注意事項について
- 倉庫業登録申請書:営業所の所在地や住所
- 倉庫明細書:構造の詳細や規模、付属設備について
- 図面:平面図、立面図、断面図、倉庫付近の見取り図や配置図など
- 土地、及び倉庫についての不動産登記簿謄本:原本の提出が必須
- 建築確認済証、検査済証:倉庫業法に則った倉庫であることの証明書類
- 商業登記簿謄本:個人の場合は戸籍謄本を添付
- 倉庫管理主任者関係書類:倉庫管理主任に関する書類
- その他必要書類:警備状況説明書や照明設備表、倉庫寄託約款など
他方、賃貸借契約としてレンタル収納業を開業する場合は、特に登録や許認可などの行政手続きを得ることなく始められます。
【まとめ】
不動産の空きスペースには無限の可能性があります。例えば、ガレージや倉庫、駐車場など、使われていないスペースを人々が利用できるようにすることで、収益を得ることができます。不動産を活用したビジネスは、需要のある市場に参入することで、安定した収入を得ることができます。空いた不動産を有効活用する方法として、レンタル収納業は魅力的なビジネスモデルであることがわかりました。準備をきちんとして、成功への第一歩を踏み出しましょう。不動産オーナーの皆様には、新たなビジネスチャンスを見つけて、資産を増やす機会をお伝えしました。是非、レンタル収納業にチャレンジしてみてください。
また、成功するためのコツと注意点もあります。例えば、利用者とのコミュニケーションを大切にすることや、競合他社との差別化を図ることなどがあります。常にお客様の声に耳を傾けて、サービスの向上を心がけましょう。