
はじめに
特区民泊について知識がない方も多いかと思いますが、この記事では特区民泊とは何か、特区民泊の要件や詳細について詳しく解説していきます。
国家戦略特区(特区)とは
国家戦略特区(特区)制度とは、日本経済の成長を牽引する、『世界で一番ビジネスをしやすい環境』を作るというスローガンに、国際競争力の高い地域や分野を限定してそれらを特区と定め、大胆な規制や制度の緩和、税制面の優遇を行うことで、新規産業の創出や外資系企業の誘致などを促進していく目的で創設された制度です。また、これらの目的を達成するために特区民泊の根拠法である国家戦略特別区域法が制定されました。
特区民泊の概要
特区民泊とは、国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例で、正式には「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」といいます。これは、外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約で貸し出し、これに付随する契約に基づいて、一定期間以上旅客に使用させる事業です。また、これらの施設の使用方法に関して、外国語を用いた案内をし、その他の外国人旅客の滞在に必要なサービスを提供する事業を行います。加えて、政令で定める要件に当てはまらなければなりません。しかしながら、事業で用いる「施設」が外国人旅客の滞在に適したものである必要がありますが、施設の「利用者」については特に制限はなく、日本人が宿泊しても何ら問題はありません。
特区民泊が可能な区域
現在、特区民泊が可能な地域として条例を定めている自治体は、東京都大田区 千葉市 新潟市 大阪府大阪市 大阪府八尾市 大阪府寝屋川市 北九州市の8区域です
特区民泊の特徴
前述したように、旅館業法の特例として制定された特区民泊は、旅館業法上での民泊(簡易宿所)の許可を得て営業するよりも、簡易な方法で民泊をはじめることができます。加えて、特区民泊の最大の特徴は、宿泊者との契約形態が他の民泊制度は宿泊契約であるのに対して、賃貸借契約である点です。また、各自治体によって詳細が異なります。以下は大阪府での他の民泊との比較表です。

特区民泊の要件とは?
特区民泊を提供するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 貸し出す宿泊施設の所在地が国家戦略特別区域内にあり、その区域内にある自治体が条例を制定していること
- 施設の利用日数が2泊3日以上であること
- 施設の要件
a.施設の各部屋の床面積が25㎡以上
b.出入口と窓は施錠ができること
c.適当な換気·採光·照明·防湿·防水·冷暖房の設備を有していること
d.台所·浴室·便所などの設備があること
e.緊急時の情報提供や施設の利用方法を宿泊者の言語で案内していること
f.寝具·テーブル·椅子·収納·家具や調理のために必要な器具、設備·清掃のために必要な器具があること - 宿泊者の滞在者名簿を備えていること
- 周辺住民に対して適切な説明が行われていること
- 周辺住民からの苦情や問い合わせに関して、適切に素早い対応が行われていること
特区民泊の具体的な流れ
- 保険所や消防署との事前相談
- 周辺住民への周知文書の作成
- 認定申請や申請手数料の納付
- 書類審査と現地調査
- 認定書の交付
特区民泊の認定に必要な書類(大阪府)
申請書類(正・写)
- 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業特定認定申請書〔様式1〕
添付書類(正・写)
- 申請者が法人である場合には、定款又は寄付行為及び登記事項証明書(役員等の名簿も添付すること)
- 申請者が個人である場合には、住民票の写し
- 賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款※
- 施設の構造設備を明らかにする図面
- 施設の周辺地域の住民に対する説明の方法及びその記録(説明に使用した資料を含む)
- 施設の周辺地域の住民からの苦情及び問合せに適切に対応するための体制及びその周知方法(施設の構造設備及び滞在に必要な役務の提供等の概要を含む)〔様式2、2-2〕
- 消防法令適合通知書の写し
- 水質検査成績書の写し(使用水が水道水以外の場合)
- 賃貸物件の場合:施設に係る全ての賃貸借契約書の写し並びに所有者及び賃貸人が事業の用に供することを承諾していることを証する書面の写し)
- 分譲物件の場合:管理規約に違反していないことを証する書面
- 付近見取図
- 居室内に備え付ける施設の使用方法に関する案内書
- 日本語及び役務の提供において使用する外国語により作成されたもの
- 住民票の写し
- 賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款
- 施設の図面
- 近隣住民への周知を完了した旨の報告
- 近隣住民からの苦情、問い合わせに適切に対応するため体制や方法
- 施設を事業に使用するための正当な権利を証明する書類
- 消防法令適合通知書
特区民泊で成功するためのポイント
特区民泊で成功するためには、以下のポイントに注意することが大切です。
- 魅力的な宿泊プランの提供
- 清潔で快適な宿泊環境の提供
- 顧客満足度の向上を図るためのサービスの充実
- オンライン広告や口コミなどのマーケティング活動の積極的な展開
- 適切な価格設定と収益管理の行き届いた運営
まとめ
今回は特区民泊について詳しく解説しました。特区民泊は新しい形態の宿泊サービスであり、認知度がまだまだ低い部分もありますが、適切な要件をクリアすることで、新たなビジネスチャンスとして注目されています。特区民泊に興味がある方や、民泊ビジネスを考えている方にとって役立つ情報が満載の記事です。旅館業法や住宅宿泊事業法との違いや具体的な要件について知りたい方は、ぜひチェックしてみてください!