建設業界で外国人労働者を雇用するためのステップバイステップガイド

はじめに

日本の建設業界では、外国人労働者の需要がますます高まっています。外国人労働者を雇用するためには、さまざまなステップが必要となります。本記事では、建設業界で外国人労働者を雇用する際のポイントについて詳しく解説していきます。

外国人労働者を雇用するメリットとデメリット

  • 外国人労働者を雇用することには、さまざまなメリットがあります。例えば、従来の日本人労働者だけでは人手が足りない場合に外国人労働者を雇用することで、生産性を向上させることができます。また、異文化の交流が生まれることで、新たな発想やアイデアも得られるかもしれません。
  • 一方で、外国人労働者を雇用する際には、デメリットも存在します。文化や言語の違いから生じるコミュニケーションの壁や、労働条件や待遇の不満などが発生する可能性もあります。それらの問題に対処するためには、十分なサポートや環境整備が必要となります。

外国人労働者を雇用する制度について

外国人労働者を雇用する方法としては、今現在、技能実習生制度と特定技能制度の2つがあります。技能実習生は、日本の技術や技能を学び、その技術を母国に持ち帰ることを目的とした制度です。一方、特定技能は、長期間日本で働くための制度であり、技能実習生よりも柔軟な雇用が可能です

  1. 技能実習と特定技能の違い

(a).建設業における人材の差異

  • 技能実習は、日本の技能、技術又は知識を発展途上国への移転を図ることにより、発展途上国の経済への発展を担う「人づくり」に協力することを目的として我が国に外国人を受け入れています。
  • 特定技能は、相当程度の水準にある知識又は経験を有する外国人労働者を、人手不足が深刻な特定の分野に限って外国から人を受け入れています。

(b).受けいられる職種の数

  • 技能実習では、現在90の職種で受け入れられます。
  • 特定技能は、特定技能1号が11分野、特定技能2号で16分野です。

(c).在留期間に関して 

  • 技能実習は、1号が1年以内、2号が2年以内、3号が2年以内で最長5年間です。
  • 特定技能は、1号が5年間、2号が無期限で就労可能です。

(d).日本語能力に関しての試験

  • 技能実習は、介護職種のみ日本語能力検定N4レベルであることが求められますが、建設業では特に試験はありません。
  • 特定技能では、日本の人手不足を補うための即戦力になってもらう必要上、ある一定のレベルに達している必要があります。そのある一定のレベルとは、国際交流基金日本語基礎テスト」または、「日本語能力試験のN4以上」のどちらかの試験に受かっていなくてはなりません。

(e).技能レベル

  • 技能実習は、技術を本国へ持ち帰ることを目的としているので、就労前に特定の技能を既に有している必要はありません。
  • 特定技能は、働く分野に関する一定以上の知識や経験を有していなくてはなりません。

(f).働く形態

  • 技能実習は、実習という言葉が表しているように、就労という形態ではないので、原則転職自体はできません。(ある一定の要件を満たせば可能)
  • 特定技能は、雇用主から雇われて働いているので、同職種であれば転職することはできます。

(g).作業内容

  • 技能実習は、専門性の高い分野の仕事を覚えるために日本へ来ているので、外国人を単純な労働に従事させることはできません。
  • 特定技能は、我が国の人手不足を補うための制度であるため、外国人をとりわけ専門性の高い作業でない、単純な労働に従事させることもできます。

(h).受け入れることができる人数

  • 技能実習は、前述のように専門生の高い技術を覚えてもらう必要があるので、企業規模における職員数に対して、外国人を受け入れられる人数枠があります。
  • 特定技能は、1号特定技能外国人と外国人建設就労者との合計の数が、受け入れる常勤職員(技能実習生と1号特定技能外国人を含めない)の総数を超えないこと、という定めがあります。上記制限の範囲内であれば、人手不足を解消するための制度なので、基本的に企業ごとの受入れ人数に制限はありません。

(i).関与する組織、団体

  • 技能実習は、受け入れる側と実習生との間に関与する人数や団体は多くあって、監理団体や技能実習機構、送出機関等があります。
  • 特定技能は、受け入れる側と外国人は雇用関係にあり、基本的にはその両者のみです。まれに、登録支援機関が外国人の生活面などのサポートを行う場合があります。

(j).家族の帯同の可否

  • 技能実習は、家族を日本へ呼び寄せて一緒には暮らせません。
  • 特定技能は、2号のみ「家族滞在」の在留資格を得れば、家族(配偶者、子)の帯同が認められています。

どちらかの制度を選択する際のポイントは、労働力需要や労働環境に合わせて適切な制度を選ぶことです。技能実習生は短期的な需要に対応できる一方、特定技能は長期的な需要に対応できます。建設業界では、特に長期的な労働力需要が見込まれることが多いため、特定技能の選択が適している場合があります。

外国人労働者のための日本語教育プログラムについて

外国人労働者を雇用する際には、日本語教育プログラムを用意することが重要です。日常生活や業務に必要な日本語を学ぶことで、コミュニケーションの円滑化や労働環境の向上が期待できます。

日本語教育プログラムのポイントは、実践的な日本語の学習を重視することです。建設業界の場合、現場で使用される専門用語や安全対策のワードなどを習得することが重要です。また、教育プログラムの中には、カルチャーショックや異文化理解の講座も取り入れることで、より円滑な労働関係の構築が可能となります。

建設業界で働く外国人労働者のための生活環境の整備

外国人労働者を雇用する際には、生活環境の整備も重要です。彼らが快適に働けるような環境を整えることで、モチベーションや生産性の向上につながります。

生活環境の整備には、以下のポイントがあります。

  1. 住居の提供:快適な住居があるかどうかは労働者の意欲に直結します。十分な住居の確保を心掛けましょう。
  2. 生活サポート:生活に必要なサポートを行うことで、労働者が円滑に生活できるようにします。例えば、銀行口座の開設や日本の社会保険の手続きなどが含まれます。
  3. 文化交流プログラム:外国人労働者が日本の文化や習慣を理解し、日本の社会になじめるようなプログラムを企画しましょう。

外国人労働者とのコミュニケーションの取り方とポイント

外国人労働者と円滑なコミュニケーションを築くことも重要です。建設現場では安全意識や連携が重要なため、言語の壁を乗り越えてスムーズにコミュニケーションを取ることが求められます。

コミュニケーションのポイントは、以下の通りです

  1. 伝え方の工夫:言葉だけでなく、図やグラフ、ジェスチャーなどを活用して伝えることで、より理解しやすくなります。
  2. 日本語学習のサポート:日本語が不得意な労働者に対しては、積極的にサポートを行いましょう。日本語教育プログラムの充実も重要です。
  3. 文化の尊重:異なる文化を持つ人々と働く場合、相手の文化を尊重し、柔軟な対応が求められます。異文化理解の講座などを通じて、相手の文化に触れる機会を設けましょう。

まとめ

建設業界で外国人労働者を雇用する際には、しっかりとしたサポートや教育プログラムを用意することが重要です。外国人労働者と円滑なコミュニケーションを取るためには、言語や文化の壁を乗り越える努力が必要です。生活環境の整備やコミュニケーションの改善に取り組むことで、労働関係の円滑化や生産性の向上を促進することができます。

経営者や人事担当者の方々は、このステップバイステップガイドを参考にして、建設業界で外国人労働者を雇用する際のポイントを押さえてください。外国人労働者との協力関係を築くことで、より多様性のある職場環境の構築にも繋がります。