遺産分割協議の進め方:スムーズな手順を解説

 遺産相続におけるタイミングや手続きの難しさに悩んでいる方へ、お役立ち情報を提供していきます。遺産分割協議は、多くの方にとって複雑なプロセスですが、正しい手順を踏むことで円満な結果に結びつきます。本記事では、遺産分割協議の進め方に焦点を当て、スムーズな手続きをサポートする情報を提供しています。遺産相続に関心のある方は必見の内容です。

遺産分割協議の必要性と基本的な流れ

 まずは、遺産分割協議の必要性についてご説明します。遺産相続を受ける際には、相続人全員が遺産の分割方法に合意する必要があります。この合意を形成するために行われるのが、遺産分割協議です。協議の基本的な流れは以下の通りです。

  1. 相続人の確定:上記のように、相続人全員の合意がないと、遺産分割協議が成立しないので、相続人の見落としには細心の注意が必要です。まず、故人(被相続人)の最終本籍地の役所で戸籍謄本を取ります。その戸籍謄本の記載内容から、他の場所から戸籍を転籍していたら、転籍前の役場で戸籍謄本を取ります。これを繰り返せば、被相続人の出生時の戸籍にたどりつきます。これらの戸籍をもとに相続人を確定します。
  2. 相続財産の把握:相続財産の種類や価値を明確にします。被相続人から、通帳などがある場所を事前に知らされていれば良いのですが、そうでない場合は、被相続人の自宅や部屋を中心に通帳などを探し、財産を確認しなくてはなりません。通帳をみれば預金額が判明するばかりでなく、保有する別口座や証券口座、保険会社、借金の有無などがわかります。被相続人の所有不動産は、権利書や売買契約書、固定資産税の通知書などの書類で確認できます。これらが見つからない場合は、所有不動産があると思われる市区町村の固定資産税の『名寄帳』を確認します。利用料はかかりますが、インターネットで利用できる『登記簿図書館』も活用してみてください。こうして、所有不動産を把握できたら、その価格を調べます。
  3. 遺産目録の作成:相続財産とその評価が判明したら、次は確りとした遺産目録を作成します。もし、ここで記載する財産に漏れがあったり、評価額に重大な間違いがあると、いつまでも遺産分割協議は終わりません。以下は漏れやすいので、気を付けてください。家庭用財産、車、会員権(ゴルフ等)、未収金(給与、地代、家賃等)、名義預金、還付金(税金、高額医療費、介護保険等)。これらを相続人同士で開示して、皆で共有します。
  4. 遺産分割協議開催(協議の希望内容の提示):遺産分割の話し合いは、直接集まっても、電話や手紙でのやり取り、メール、ラインでも構いません。理想は、相続人全員が一堂に会して各々の希望を述べ合うことです。お互い不仲で会うことや、メール等でのやり取りすら困難な相続人がいたら、別の相続人を介して連絡を取るのも可です。行方のわからない相続人がいたら、『不在者財産管理人』の選任を家庭裁判所へ申し出ます。また、相続人の誰かが生死不明の場合は、失踪宣告を家庭裁判所へ申し立てます。失踪宣告により、被相続人より先に亡くなったことになれば、そもそも相続人ではないので、遺産分割協議に失踪者を除外して進めることもできます。しかし、失踪者に子や孫がいると、代襲相続が発生し新たな相続人が現れることがあるので、ご留意ください。
  5. 合意形成:そして、相続人全員が合意に達するまで話し合いを行い、最終的な取り決めをします。その際にスムーズに進むコツは、あらかじめ議論の『たたき台』を用意することです。また、相続人ではない親族が口出してこないようにすることも重要です。加えて、平等にこだわるのも協議が長引く原因になります。ある程度、お互い譲歩して落としどころを見つける努力が必要になります。どうしても、横槍を入れる親族がいる場合は、家庭裁判所に調停を申し立てるのも有りです。家庭裁判所の調停室で遺産分割協議をするので、相続人以外は調停に参加できないからです。遺産分割は不動産から決め、その結果に応じて預金などを分け合うと比較的スムーズに進行するかと思われます。
  6. 分割協議の結果の記録:合意した内容を遺産分割協議書にまとめ、全員が署名・押印します。

・協議のスケジューリングと進め方のポイント

 協議のスケジューリングは、相続人全員の都合を考慮しながら進めることが重要です。全員の意見を聞くために、日程調整を行います。また、以下のポイントにも注意してください。

  1. 冷静な判断:感情的な意見交換や論争を避け、冷静に意見を述べるようしてください。
  2. 公平な分配:遺産の公平な分配を目指しましょう。公正な方法を選ぶことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
  3. 専門家のアドバイスの活用:弁護士や相続税の専門家に相談することで、適切なアドバイスを得ることができます。

・遺産の種類に応じた注意点と解決策

 遺産の種類によっては、分割協議において特別な注意が必要な場合があります。不動産や会社の株式など、特殊な遺産の場合は、適切な評価方法や財産処分の方法について合意する必要があります。専門家のアドバイスを受けながら、問題解決したほうが賢明です。

・協議中に起こりがちな問題と対処法

 分割協議中にはさまざまな問題が発生することがあります。例えば、相続人間の意見の不一致や感情的な対立、財産評価の難しさなどです。これらの問題に対処するためには、以下のようなアプローチが有効です。

  1. 内部調整役の任命:相続人のなかで、中立的な立場の人物を内部調整役として任命します。彼らの助けを借りることで、円滑な意見調整ができます。
  2. 仲介者の活用:弁護士やメディエーターなどの専門家を仲介役として交えることも有効です。彼らは客観的な視点で問題を解決するための支援をしてくれます。

・専門家のアドバイスと有益なリソース

 遺産分割協議には様々な法的ルールや税金の関連事項が絡んでくるため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。弁護士や司法書士、税理士や不動産鑑定士、行政書士など、専門家の知識を活用することでスムーズな手続きができます。また、インターネット上には遺産分割に関する有益な情報が数多く存在していますので、参考にしてみてください。

まとめ
遺産分割協議は慎重な進め方が求められる重要なプロセスですが、正しい手続きを踏むことで円満な結果に結びつきます。必要な情報の収集や専門家のサポートを利用しながら、相続人たちが合意に達することを目指しましょう。遺産相続は一生に数度とない大切な出来事です。遺産分割協議の成功を願っています。