はじめに:
内容証明郵便自体には、法的な拘束力はありません。しかし、相手へ送ることによって、自分の意志を明確に表明し、心理的な圧力を加えることで、様々な問題を解決へと導く手段になります。また、内容証明郵便を送ることで、いつどのような内容の文書が相手へ到達したのかなど、公的な証明として、のちに争いとなった場合に、法的な証拠となります。加えて、未払い賃金の督促や契約の解除通知など、また、紛争中の相手への文書での反論や、損害賠償請求などでも活用できます。以下に、内容証明郵便の書き方とポイントについて、初心者でも分かりやすく解説していきます。
本文:
- 内容証明郵便を作成する手順
1) まず、封筒と紙を用意します。普通の封筒で問題ありません。封筒の表面には受取人の住所と氏名を書き、裏面には、差出人の住所と氏名を書きます。注意点として、住所と氏名は内容文書と同一にしてください。内容文書の用紙は、特に指定はないので、どのような紙に書いても大丈夫ですし、紙の大きさも自由です。わかりやすくするために赤い枠の赤いマス用紙を使用するのが良いかと思います。
2) 手書きの場合、用具は鉛筆でもボールペンでも大丈夫ですが、鉛筆というのは適切ではありません。パソコンなどの印刷物でも大丈夫です。
3) 1枚に書き込める文字数は、520文字と決まっています。縦書きの場合、1行20字以内、1枚につき26行以内です。横書きの場合は、1 行20字以内1枚26行以内、1行13字以内1枚40行以内、 1行26字以内1枚20行以内などです。文字数や行の制限はあくまで上限ですので、縦書き15文字20行でも問題ありません。複数枚にわたる場合は契印をします。 4) 日本語のみ使用できます。ワープロを使用する場合は注意が必要です。丸囲み文字、装飾文字は使用できませんが、固有名詞のアルファベット (例えば「株式会社 CBD産業」)や、「!」、「?」など一般的に使用される記号は使えます。また、ワープロの設定で一行の文字数を、制限より1文字少なくします。図は不可となっています。 5) また、郵便事業株式会社、郵便認証司の証明印を押す欄が必要なので、手紙文の末尾(縦書きの場合は左、横書きの場合は下)に余白を設けます。最低4~5 cm 以上の余白が必要です。(余白を作らなかった場合は、証明文・証明印を押すための小さい紙が用紙の末尾に糊付けされます。) 6)そして、同じ内容の手紙を3通作ります。一通は相手方へ郵送する分、もう一通は差出人の控え、そして最後の一通が郵便局保存用です。同文の手紙を三通作成する方法は、カーボン用紙を使用しても良いですし、コピー、又はワープロの場合であれば3部プリントアウトするのでも問題ありません。7) 差出人欄と受取人欄は、内容文書の最初でも最後でもどちらでも大丈夫です。その際、必ず差出人、受取人の住所と氏名を書く必要があります。差出人の名前の下に捺印(印鑑を押す)します。(押さなくても法的効力に違いはありません)封筒にも差出人と受取人の住所・氏名を書きます。前述したように、内容文書と同一にします。 8) 使用できる文字は、仮名(平仮名、カタカナ)、漢字(中国語、韓国語は使えません)、数字(算用数字、漢数字)、英字(固有名詞のみ)、カッコ()「」、記号(#+%など一般に記号として使われているもの) 9)内容証明の本文中に、文字以外の図表、絵、表、写真を入れることはできません。(傍点、傍線は使えます)また、封筒の中に、請求書や契約書のコピーなどの添付書類を入れることもできませんし、返信用の封筒なども不可です。小切手、手形などの有価証券を同封することも同様です。 - 内容証明郵便の書き方のポイント
効果的な内容証明郵便を作成するためのポイントをご紹介します。- まず、タイトルをつけます。『請求書』、『催告書』、『通知書』など、内容証明を相手方へ送った意図を明らかにします。時候のあいさつは必要ありませんが、今後も取引を継続していく可能性がある場合は、入れるのも有りです。
- 文書には、必ず差出人の住所・氏名、受取人の住所・氏名及び年月日を書きます。 縦書きの場合は、文書の末尾に年月日、差出人の住所・氏名、受取人の住所・氏名(法人の場合は住所・法人名・代表者名)、の順に書きます。 横書きの場合は、文書の冒頭に年月日、受取人の住所・氏名(法人の場合は、住所・法人名・代表者名)、差出人の住所・氏名の順に書きます
- 事実、要求(どうしたい、どうしてほしい)、履行してもらうための合法的な脅し文句(法的手段をとるなど)を書きます。
- 例えば、事実 「いつ、どの取引でいくらの売掛金が発生したか」、そして「その売掛金が弁済期が来たのにまだ支払われていない」など。 要求 「いつまでにいくら払ってほしい」、 「本書面到達後何日以内にお支払いください。」など。 合法的な脅し文句 「払わないと法的手段をとらせていただきます」 などです。余計なことや、あまりにも過激なことを書くと不利になることがあるので、ご留意ください。
- 作成年月日は、郵便局が差出日を証明してくれますが、文書に作成年月日を書くのは基本です。
- 会社として差し出す場合は、代表者を併記します。また、受取人が法人等の場合にも、可能であれば代表者等を併記します。
- 明確に意思表示をすることを忘れないでください。『私はこう思うのですが如何でしょうか』のような文章では、明確とは言えません。
まとめ:
大切な書類や情報の証拠保全に役立つ内容証明郵便の効果的な書き方とポイントについて、書きました。内容証明郵便を正しく活用するためには、内容を明確にし、意図や日時を明示することが重要です。ぜひこれらのポイントを押さえて、内容証明を書いてみましょう。
内容証明郵便の書き方やポイントが分かることで、あなたの証拠保全のスキル向上に役立つはずです。ぜひ活用してみてください!