遺贈(相続や贈与との違い)について

  1. タイトル
    遺贈に関すること – 死因贈与相続との違いや意義について
  2. はじめに
    遺贈は、故人の「遺言」によって遺産の一部または全てを無償で譲り、相続人か相続人以外の第三者かにかかわらず、遺産を誰に遺すかについて、故人の意思を尊重する制度です。遺贈は、贈与者による一方的な意思表示であるのに対し、死因贈与は、贈与者と受贈者の合意が必要な契約行為で、贈与者が死亡するまで契約の効力は発生しません。また、遺贈は相続とは異なり、遺言書によって相続人や特定の個人以外にも、遺産を受け継がせることができます。以下、詳しく書いていきます。
  3. 遺贈に関連する法律は、民法の第960条から第1027条に定められています。そもそも遺言とは、「人が自分の死後、その効力を発生させる目的で、あらかじめ書き残しておく意思表示」を意味します。なお、遺言が法律上の効力を生じるためには、民法の定める一定の方式に従ってなされることが必要です(民法第960条)。つまり、自分の死後に、自分の想いを反映させた遺贈を実現させるには、法的に有効な遺言書をご自身で作成しなくてはなりません。口頭での伝達や、エンディングノートなどでは、法的な意味での遺言にはならない点にご留意ください。そして、民法第964条の「遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる」を根拠に、贈与者が生前に自分の意思を遺言書にすることで、法律で定められた相続人以外の人へ、その財産を譲ることが可能です。その場合、人でも法人(企業や団体)でも受遺者になることができます。               
  4. 特定遺贈と包括遺贈の違いは、特定遺贈は、「○○の土地を遺贈する」や「金融資産のうち10万円を遺贈する」等、個別の財産を特定して遺贈することをいい、包括遺贈は、個々の財産を特定しないで、財産の全部又は一部を包括的に遺贈するもので、財産に対する取得割合を示してする遺贈をいいます。受遺者の権利に関しては、特定遺贈は単に譲渡を受けた人に過ぎませんが、包括遺贈では、相続人と同一の権利や義務を付与されます。加えて、特定遺贈では遺産分割協議には参加しませんが、包括遺贈では参加します。債務や負債は、特定遺贈では引き継ぎ、包括遺贈では引き継ぎません。
  5. 遺贈における税金の取り扱いは、遺贈は相続税として課税され、財産を受け取った受遺者は必要に応じて、相続税の申告と納税を行う義務があります。
  6. 遺贈をする際の注意点、被相続人より先に受遺者がなくなってしまった場合、遺言自体が無効となってしまうことがあります。また、本来の相続人には、遺産に関して遺留分という最低限の権利があるので、その遺留分に配慮した遺贈にしないと、受遺者と遺留分権利者間で問題が発生してしまうかもしれません。
  7. まとめ
    遺贈は、孫やお世話になった友人や団体など、法定相続人以外の人に財産を遺すことができ、遺言書を通じて故人の想いを実現できる方法となり得ますが、上記の点には注意が必要です。