配偶者居住権とは?相続時に知っておきたい重要ポイント

【はじめに】
遺産相続において重要なポイントである配偶者居住権について、具体的な権利やポイントを分かりやすく解説します。

【本文】

  1. 配偶者居住権の基礎知識
  • 配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなり、残された配偶者が相続した不動産(家屋など)にもともと居住していた場合、一定の要件を充たしたときは、賃料の負担なく無償で住み続けることができる権利のことです。
  • 配偶者居住権は、第三者に譲渡したり、所有者に無断で賃貸には出せません。他方、建物の所有権を取得するよりも、低い価額で建物に居住する権利が得られるので、残された配偶者の生活の安定や経済的な保護につながります。また、遺言や遺産分割の際の1つの手段として、預貯金や他の遺産より、配偶者居住権を取得したほうが、より多くの遺産を得られるというメリットもあります。

2. 配偶者居住権と配偶者短期居住権との違いについて

  • 配偶者居住権は配偶者の生涯にわたり続く権利です。居住建物の所有者は、配偶者に対して配偶者居住権の登記を備えさせる義務を負っています。また、登記することによって第三者へ対抗することができます。
  • 一方、配偶者短期居住権は、相続後の一定期間(6ヶ月)に限定される権利です。加えて、遺産分割の協議が行われる場合には、遺産分割の協議がまとまるか又は遺産分割の審判がされるまで、建物に住み続けることができます。他方、登記することはできません。

3. 配偶者居住権者と所有者との法的関係について

  • 配偶者居住権者は、不動産の所有者とは異なり、権利を行使するだけの立場です。使用等に関しては、 配偶者居住権者は、無償で居住建物に住み続けることができますが、これまでと異なる用法で建物を使用することはできません。建物の使用に当たっては、建物を借りて住んでいる場合と同様の注意を払う必要があります。
  • 居住建物の修繕は、配偶者がその費用負担で行うこととされています。建物の所有者は、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしないときに自ら修繕をすることができます。
  • 居住建物の増改築は、建物の所有者の承諾がなければすることができません。
  • 居住建物の不動産売買や担保については、建物の所有者の同意が必要です。
  • 居住建物の固定資産税は、建物の所有者が納税義務者とされていますので、所有者がこれを納税しなければなりません。しかしながら、配偶者は、建物の通常の必要費を負担することとされているので、建物の所有者は、固定資産税を納付した場合には、その分を配偶者に対して請求することができます。

【まとめ】
遺産相続において重要なポイントである配偶者居住権を正しく理解し、遺産トラブルを回避しましょう。専門家のアドバイスや遺言書の作成を通じて、配偶者居住権に対する適切な対策を講じるようにしましょう。